駄句は捨てずに書き留めたい。

好きな娯楽を発信する雑記ブログです。

ある年の瀬に田中泰延の本に出会った話。

こんにちはこんばんは、年末が誕生日の柿と申します。

今回は私がブログを書き始めるきっかけになってしまった1冊の本との出会いを紹介したいと思います。 主たる部分は日記なので「なんだ、日記か。」と思いながら読んでください。

  

出会い

話は2019年の冬に遡ります。

忘年会の集合時間よりちょっとだけ早く駅前についてしまった私は、スタバかミスドにでも小腹を満たしに行こうと思いました。飲み会まであと30分程度ですが、夕暮れ時の男子学生は大抵お腹を空かせています。ミスドのドーナツの中ではオールドファッションが好きです。スタバはチョコチャンククッキー(みたいなやつ)。

しかし、飲み会の最大の楽しみといえば乾杯のビールです。ビールは一口目が一番美味しい。

 30分後には乾杯のビールが待ち構えていて、ここで何かを口にしたら台無しになってしまう。

ビールは私のミスドへの足を止めることに成功しました。

今回はオールドファッションの負けです。「一口目のビールは死ぬほどうまい」というのは大学で学んだ数少ない真理の1つです。

 

その一口目のビールをもっと楽しむためにこう考えます。

 本を読めば喉が渇く。本を読みに行こう。 

 

活字には喉を乾かせる素晴らしい効果があります。これは私の経験則から導き出した1つの答えで、本を読む時にコーヒーが欠かせないのはそのためです。紅茶でも構いませんが。

美味しいビールのために本を読もう。乾杯をもっとおいしく、サッポロ。すぐにGoogleマップを開いて、ピンを2階の書店に刺しました。

 

本屋に向かう足は、人を勉強家だと錯覚させます。

私は英語の勉強になる本でも探そうかな、と書店に入りました。英語の本の棚を探しているうちに、ある1冊のビジネス書と出会います。これが運命の出会いでした。

それが、こちらの本です。

 

著者である田中泰延さんは元々電通でコピーライターを努めていた方です。2016年に退職した後、「青年失業家」と自称しフリーランスとしてご活躍されているそうです。名前で検索するとTwitterやら書かれた記事やらがたくさん出てきます。石田三成について書いた記事がとても好きです。そんな方の初著書。僕とひろのぶさんとの出会いです。まあ一方的ではありますが。

 

ファーストインプレッションとしては、買う気もなく手に取って10分弱立ち読みしただけです。

しかしこの10分のおかげで修士論文を控えた理系大学院生は「暇を見つけて本を読みたい」「何かを書きたい」と思い始めてしまいます。卒業要件の達成を妨げる大きな邪心が生まれました。それほど読みやすくて、スッと入ってくるビジネス書に出会ったわけです。ただ著者いわく、ビジネス書ではないそうです。

 

 「読みたいことを、書けばいい」

本について話します。

まずシンプルな表紙に惹かれるタイトルで一目惚れしました。最近の若者はシンプルなスマートさに惹かれる傾向にあります。これはテストにも出ます。

好きな表紙でつい手に取ると、その中身は「文章を書く」ということについて、著者・田中泰延さんがその考えを寄り道たっぷりに書いていてとても面白い。ほんとに面白いし、何より読みやすい。面白いと集中するし、集中すると周りの音が聞こえなくなります。あっという間に冒頭数ページを読んでしまいました。

ブログにしろ、ビジネス書にしろ、ハウツー本にしろ、あまり活字を読む習慣のない私が、10分以上足を止めました。しかもあまり行かない書店の、寄ったことの無いビジネス書のコーナーで。これは偉大な功績です。

それから、その日の飲み会が終わっても、次の日の飲み会が終わっても、続きが読みたくてその本を忘れられなくなってしまうのでした。

完。

 

 我に返ると「TOEICで900点を取るためのノウハウ」みたいな本を立ち読みするサラリーマンが隣りにいました。英語の本はどうやら意外と近くに置いてあったらしいです。つまり僕と英語の本との運命の出会いはもう少しだけ先になります。そして私は走って飲み屋に駆けつけ、ギリギリ乾杯に間に合うのでした。ビールはプレモルでした。

  

話は変わりますが、 最後に会ってから3日間、頭から離れない人がいるとしたら、それはもう恋です。それが例え本であれ。そして恋には、運命の出会いと運命の再開がつきものです。

飲み会から多分3日後くらい、ショッピングモールの書店で田中みな実の初写真集を探し歩く私は、偶然にも再び田中泰延氏の本を目にします。正直に言うと、書店のちょっと奥の方まで探しました。見つけてすぐに2冊とも買いました。クリスマスが近いのでラッピングもしました。

そしてジングルベルが聞こえる夜にあっという間に読み切って、興奮冷めやらぬまま重い腰を上げ、パソコンに向かってみることにしたのです。あっという間に読み切ったのは写真集の話ではありません。写真集はそれはもうじっくりと読み込みました。

 

12月は全人類が忙しくなるようにできているみたいです。当時は修士論文を書きながら記事を書いて、その合間にバイトをしながら趣味のテニスをこなしていました。本も読みたい、テニスもしたい、だけど単位も足りてない。ああ忙しい忙しい。

単位が足りないのは春夏秋の自分の怠慢のせいですが、忙しいのは12月のせいです。

師すら走ると書いて師走。当時は研究室の教授が飛ぶように走っていました。走らせているのはここまで怠慢を極めてきた学生で、走っているのは弟子という名の学生を卒業させるために暗躍してくれているからです。

怠慢だった当時の僕でさえ忙しいと思っていたので、社会人はきっともっと忙しいのでしょう。年の瀬ってやつはとにかく「何かをやらなければいけない」と思わせるのが得意です。

 

そういえば、クリスマスから正月までの間という、「The 年の瀬」に私を産んでくれた両親は、私が独り立ちするまでの十数年間、きっと大変忙しい年末を過ごしに違いありません。クリスマスと正月の間に僕の誕生日を祝わないといけないのです。私が小学生の頃は、クリスマスで軒並み売り切れたゲームボーイを探しに街中を走り回ったとか回ってないとか。まさに師走です。主に走っていたのは父で、詳しくは父の車です。

父は人前ではめったに走りません。人に慌てた姿を見せない、そういうところも尊敬しています。

僕はしょっちゅう走ります。駅へ向かうバスが定刻通りに行ってしまうせいです。時間って残酷ですね。

 

高校からかれこれ9年ほど理系の道を進んできた自分には、文章を書くという習慣があまりありませんでした。読書は好きですが小説ばかりでビジネス書や新書なんて手に取ったこともありません。

まじめな文章といえば教科書や学会論文くらいです。やつらには人の温かみというものが足りません。もっと読ませる努力をしてほしいです。

ともかく、こんな忙しい年末に、「何かを書きたい」衝動を掻き立てるほどのインパクトを与えてくれた本です。中身はぜひ手にとって読んでみてください。 

 

たった1冊本を読んだくらいでおこがましい限りですが、もしよければ買ってあげてください。著者の言葉を借りれば、彼にも生活があります。

 

おわりに

田中みな実の写真集はこれです。

 

こっちは絶対読んだほうがいいです。

いや、鑑賞したほうがいいです。まさに芸術作品です。

マジでオススメです。胸騒ぎの腰つきです。

 

ということで、ここまで読んで頂きありがとうございました。

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